災害時の食料不足解消に一役買うローリングストック法は、簡単に続けられる備蓄法
目次
自分の身は自分で守る
大災害が起こると国内外から人やモノの支援を受けますが、お住まいの自治体の備蓄状況はご存じんでしょうか?その数は、恐らく住まいを失い行き場をなくした人達を想定して割り出したもので、到底市民全員を賄えるほど十分では無いのが現実でしょう。
私たち一人一人が、誰にも頼らないで自分の身は自分で守るという覚悟を持って暮らしていくことが理想です。
自助・共助・公助の三位一体で乗り切る
日本列島全体が、脆弱な地盤の上に位置しており世界的に見ても類を見ない地震多発地帯だという事は、専門家でなくても周知の事実です。
その小さな島国というか山国に、一億二千万人が暮らしているわけですから一度大きな災害が起きると、列島全体にまでダメージが広がる事は、もはや私たちは経験済みですね。
これは、命が助かり自宅も無事だったことを前提としています。
ライフラインの復旧は?
私の住んでいる愛媛県松山市が南海トラフにおける被害を想定して事業計画しているものから参考にさせて頂きました。(H.25.12)
南海トラフ巨大地震の被害想定(人的被害:冬深夜、人的被害以外:冬 18 時)
停電
直後70.2% 1 日後10.7% 2 日後 3.4% 1 週間後0.0%
上水道施設被害(断水)
直後58.9% 1 日後55.0% 1 週間後 34.3% 1 ヶ月後3.6%
下水道施設被害
直後56.4% 1 日後 47.6% 1 週間後 17.2% 1 ヶ月後0.4%
都市ガス
直後100.0% 1 日後97.6% 1 週間後83.3% 1 ヶ月後32.8%
過去の大災害からもライフラインの復旧は、おおよそ電気→水道→ガスの順番ですが、被災状況によっては一ヶ月経っても、蛇口から水が出ない、ガスが使えないという被災生活を強いられることもあることから、生活用水の確保やカセットコンロなどの備えが必要です。
防災備蓄の重要性について前回は「水」をテーマにいたしましたが、生き延びていくためには「食料」も不可欠です。
食べなくては、生命を維持できません。折角助かった命を、明日へと繋げていくために私たちは日頃から何をしておけばいいでしょうか。
災害時一番頼りになるものは?
こんな記事を見つけました。
災害時、誰が、 あなたに食料を届けてくれるのか─ 被災者支援の現実と限界 ─
私たちの手頃で良いモノが欲しいという需要に応えると、非常時の災害対応能力は弱くなり、そこの強化を期待すればコスト高を生むことになるという何とも皮肉な話ですが、災害時一番頼りになるのが「お米」でありその聖域は、日本人として守っていくことが大切です。
発災直後から当たり前のことが当たり前でなくなる事態が発生し、隣近所のコミュニティやその場に偶然居合わせた他人同士が声を掛け合って事態を乗り切らねばなりません。海外からの支援、国や自治体からの援助の手は差し伸べられますが、どうしても時間がかかることを理解し受け入れた上で、まずは自分でできる備えを見直しておかなくてはならないでしょう。
自助=自分の身は自分で守る
共助=家族、会社、隣近所で助け合う
公助=行政が援助する
どのくらい備えればいいのか?
災害時はスーパーやコンビニから瞬く間に食料品や生活必需品が無くなり、物資を届ける流通も避難する人や被災地に向かう人の車で道路は渋滞し交通網が乱れ、あらゆる物資が不足します。
3日分備えましょうと言われていますが、先のデータが示しているように、最低でも一週間分は備える必要があるでしょう。家族4人分ですと84食分になります。
一人1日3食×家族人数分×1週間分備えましょう
ローリングストック法だと簡単備蓄できる
防災備蓄のハードルを下げる
家族分の具体的な数字が出た時点で既に挫けてしまいそうですが、全部を長期備蓄品で備える必要はありません。
炊飯器に残っているご飯もあるでしょう。買い置きのパンも一食分くらいはないですか?朝食にリンゴやバナナを用意しているお宅も、多そうです。冷蔵庫の中には食材がある程度入っていますよね。
季節にもよりますが、災害時停電になったとしても冷蔵庫の中のモノや買い置きの乾物で、2日くらいはしのげると言われていますので、普段から常備菜(作り置きおかず)をいくつか作っておくと、それがそのまま備蓄食品となります。何より、近日中に食べる物なので無駄がありません。食べないかもしれない?ということが無いんです。
この点で、3年保存だとか5年保存だとかの長期保存食品を「大量に準備しておかねばならない」という重い気持ちのハードルが、少し下がりませんか?
どれだけの予算を組めばいいんだと不安になるのは、私だけじゃないと思います。
こんなサイトも見つけました。
冷蔵庫の中も食品備蓄庫
卵や豆腐などまずは足の早いものから消費していきます。ハムやソーセージ、かまぼこやちくわなどは、そのまま調理無しでも食べられます。
冷凍庫の食品がとけてきたら火を通して調理に使います。何気に作っている氷も溶ければ「水」になりますから、冬でも製氷しておくと災害時の貴重な「水」がここでも確保できます。
日頃から冷凍庫の中の空いたスペースは、保冷剤や或いは水を入れたタッパーやジブロックを入れておくことで、冷凍された食品同士が冷やし合って温度を保ち、非常時はクーラーボックスの中にそれらの保冷剤を入れて一次的に冷蔵保存ができます。こうして冷凍庫の中の空きスペースも、防災備蓄の視点から無駄にできません。
*災害時にお腹をこわしたのでは本末転倒ですから、「食」に関してはくれぐれも用心が必要です。
冷蔵庫の中を整理しておきましょう
冷蔵庫の中は、お部屋と同じく整っていることで家族の命を繋ぐことができるのです。
いっぱい詰め込まれ何が入っているのか分からないような状態ですと、いざという時に賞味期限が切れていて、食べられないという事になります。
折角の備蓄食品が台無しになっていることにその時気付いても、後の祭りですね。
ミニマリストでない限り、暮らしの中を見回してみると、私たちは特別意識していないところで割と備蓄生活をしているものですが、そこに計画性があるのかないのかという点が重要です。
冷蔵庫の中は、タンスの中と同じです。
どんなものが、どのくらい入っているのか自分で知っていることが前提です。
特に冷蔵庫は、家族の食の入り口ですから、命を繋いでいく大切な役割を担っている場所だということを肝に銘じておかなくてはなりません。
家の中の整理収納についてご興味のある方は、こちらの記事をご覧になってみて下さい。
常備菜が大活躍
例えば、コレさえあればご飯がすすむような「ふりかけ」「味付け海苔」「漬物」「梅干し」「らっきょう」「おかず味噌」など自分の好きな日頃食べ慣れたものや、コレを掛ければ何でも美味しく食べられるような「塩」「醤油」「ソース」「マヨネーズ」「たれ」なども常備しておくと、強いストレスから無くしている食欲を取り戻すのに一役買ってくれそうです。
これらは特別食ではありませんから、気負わず簡単に日常から準備することができますので無理がありません。
防災備蓄は、一過性のものではありません。
暮らしていく以上ずっと続けていくものですから、負担が大きいと長続きしないのです。勢い込んでセットになった高価な防災備蓄食品を家族分を揃えたとしても、それをずっと続けていかなくては意味がありません。
賞味期限切れで無駄にしないようにしましょう
ローリングストック法は、食べた分だけ補充しておき、いざという時に賞味期限切れの心配もなく、経済的にもお財布に優しい簡単な防災備蓄方法ではないでしょうか。
これならコスパ重視・面倒臭がり屋の私でも、何とかやれそうです。
カップ麺やレトルト食品は、常備しておくように食べたら補充すればいいですし、家事時短を目的とした最近よく耳にする常備菜は、私もやってますが防災備蓄の視点からも一石二鳥です。
我が家の朝食はパンですが、災害時でも乾パンではなく柔らかい美味しいパンが食べられると嬉しいですね。
保存食にもなる賞味期限の長い安心・安全なパンがありました。
パネトーネ種を使った賞味期限が長いふわふわのパンコモパンのひみつ
精神安定剤にもなる備蓄品とは?
精神的にも緊張状態が続く中で、甘い物や温かいものは気持ちをほっと落ち着かせてくれるものです。
以前、地元開催の防災フェア―で災害時の非常食をいくつか試食したことがありますが、その中に「えいようかん」なるものがありました。非常食に「ようかん?」どんなものかと思いましたが、見た目も味も普通の「ようかん」と何ら変わらず、あっさりした甘さで美味しかったことに、拍子抜けしたのを覚えています。
60g程が一本ずつ個包装されていて、ご飯お茶碗一杯分のエネルギー補給が出来るようになっていました。保存期間は5年と長く、調理が要らずお手軽な栄養補給食品で、災害時以外のアウトドアやサイクリングなどにも最適だそうです。
特別な保存用のおやつを揃えなくても、たまには普段何気に買うおやつを少し違った視点から見てチョイスしてみるのも良いと思います。
災害時の食事は、いつも通りという訳にはいきません。やはり栄養の偏りが気になるところです。
食事量も少ないと食事からの水分摂取も減り、その結果、便秘に悩まされることも多くなります。野菜不足で食物繊維が不足することも、拍車をかけます。ビタミン不足など補うために野菜ジュース、フルーツジュース、フルーツ缶詰、ナッツ類、サプリメントなども日常的に備えらているといいですね。
普段当たり前に飲む一杯のお茶も、非常時にはとても気持ちを落ち着かせてくれます。コーヒー党の方は、朝は飲まなきゃ一日が始まらないのでありませんか?
ガスや電気が止まった状態で活躍してくれるのが、卓上コンロです。ガスボンベと水をセットにして備えておくべきものの一つです。最近では、電気鍋を使うお宅も多いと思いますので、ガスボンベ1本どのくらい使えるのかも知っておかないといけません。
コンロの火力や季節にもよりますが、一日三食を調理するのにそれぞれ30分前後使うとしても、ご飯を炊いたりすればそれ以上になるでしょう。お湯は、水筒などに保温して利用するとガスボンベの節約にもなりますが、一日大体1~2本は使うでしょうから、十分備えておきたいところです。
炊かなくても食べられるご飯は、もうご存知の方も多いと思いますが、熱湯だと約15分、水だと約1時間でできるα米も炊き立てコシヒカリとはいきませんが、思ったほど悪くなかったですね。炊き込みご飯も数種類ありました。先程の「えいようかん」といいどれも程よく美味しくて、「保存食は食べにくいものだ」という私の先入観がちょっと変わりました。
ストレスが大きい災害時には、食べ慣れていないものは喉を通らないかもしれません。不安な気持ちの中、いつもの食事に近いものや好物のものがあると食べやすいでしょう。長期保存食を備えておく場合は、試食をして自分に合うかどうか皆で確かめておくことも大切です。
毎年決まった時期に、賞味期限が切れないように保存食を囲むようにするのもいいでしょう。皆で試食しながら同時に非常時のグッズや避難場所、連絡方法などについても確認したり話し合っておくと、いざという時慌てなくて済みます。家族の定例行事にしてしまえば良いんじゃないでしょうか。
防災備蓄はずっと続けることが肝心
使う量×家族人数分×1週間分を目安にしましょう
闇雲に備えると、返って必要以上にスペースを圧迫してしまい、日常生活に差し障りがが出てきます。
災害時に避難するにも、経路を絶たれたり大けがをしたりでは、本末転倒ですね。必要以上のモノで溢れた住まいの中では、折角助かった命を危険にさらすことにもなりかねません。
防災備蓄食品においては、他のモノと違い賞味期限がありますから、必要量を知って備え食べながら循環させ無駄にしないことが、肝心なのです。
防災備蓄に終わりはないということです。
「備えあれば患いなし」